11時から17時までの展示会1日目を終えたあと、TICTのテスターである米原さんにご案内いただいて彼のホームグラウンドである富山県西部へ。この時期の富山はなんといってもホタルイカパターンなのですが、その出現には不確定要素も大きく、ワンナイトのメバルダービーでの確実な釣果を求めてのポイント選択でした。当地では基本的にアミパターンの釣りがメインらしく、そうなると僕も健太郎さんも馴染みのある釣りであり初見の場所でもなんとかアジャストしていけるかな、と少し安心。今回なんといっても健太郎さんの釣りが久しぶりに見られることも楽しみでした。この人、見ていても特に変わったことをしてるわけでもなくとても静かな釣りをするのですが、なんだかとにかく釣るんです。数投で状況を把握し、そこから一気にパターンに嵌め込んでいくのがとにかく上手い。
最初のポイントは道路沿いのテトラ帯。街灯の灯りも効いています。富山は巨大な湾であり基本的に波の穏やかな砂地の地形で、僕や健太郎さんが普段釣りをするような磯場がほぼなくてかなり感覚が違う。その砂地に点在する藻場を撃つのがメインパターンということですが、ストラクチャーも少なく波がないシャローの釣りであり、となると潮流があるかないかが重要になってくる、これは共通の感覚なのでとにかく流れを探そう、という基本姿勢。
風は追い風で波高は50センチもなく、ピッチの短いかすかなうねりで足元がちゃぱちゃぱ洗われるような状況ですが、これでも米原さんは波が少し強いと言う。波高3mまでは釣りをする私としてはこんなのベタ凪以下なのですが、やはり富山のメバリングは北陸の中でも特殊なんだなと、わたし自身おそらく5回目の富山なのですが、今回も色々な場面で感じました。
昨日までは好調だったというそのポイント。ただこの日は潮の効きがやや悪く、米原さんの言う波の強さもあってかあたりはなく、しかしなるほど大変雰囲気のある場所で、1.5mほどの水深でところどころ海藻が海面まで露出しておりその隙間やエッジを通す釣り。緩やかに湾曲する長大なテトラ帯であり波や潮の当たり具合で水面の流れが微妙に変化して魚の着くピンポイントが作られるんだろうなと。その微妙さを感じて釣らなきゃいけない。なるほどなるほど、こういう感じなんだな、と徐々に富山の釣りを理解していきます。
ポイント②。規模の大きな港湾。ただ港自体は入り禁で釣りができないのでその根本の砂溜まりのようなポイント。完全な平水であり極めて静か。海の音がしない。そのポイントのあまりのぬるさに、ここですか?メバル、、、釣れるんですか、、、ここ?と半信半疑。これが越前にあってもおそらく入らない雰囲気の場所。米原さんはあーはい普通に釣れますよーと言うのですがわたしも健太郎さんもあまりの普段の釣りとのイメージの違いにどう攻めたものか立ち尽くしてしまいました。
でも立っててもしょうがないのでごく近距離の沖に入るテトラのエッジを明暗を意識しつつビーナッツで撃っていると程なく、オープンを釣っていた米原さんがあーあたったーと声を上げました。えーまじっすかオープンに魚いるんですかと3人並んで撃ち始めます。やや追い風のビーナッツサスペンドの距離に海藻が点在していてその感触を感じながらごくスローなリトリーブ。せめて何かある場所をと藻の濃い場所を探っていると唐突にゴンッと強いあたり!乗りはしなかったのですが、わーあたったあたったぁ!思わず声が出ます。そのあたりの持つトルクにそこそこサイズもあることが分かりました。
場所の雰囲気としては(越前的わたしの感覚では)釣れても20センチだろう、というポイント。しかしあたりの質はおそらく20後半。そのギャップに戸惑います。富山は違う、と頭では分かっていてもやはり戸惑う。ただそのサイズがいることがわかった以上は一気に集中していきます。米原さんも健太郎さんにもあたりが出ていて数も相当いるようです。
しかし、ここからが難しかった。頻繁に当たるんですが乗らないんです。3人とも乗らない。フックはフレッシュであたりも強い。しかし乗らない。ワンリトリーブで2回も3回もあたったりするんですが乗らない。魚はやや下にサスペンドしていて水面のルアーに高速でアタックしてきている。あたりの感触でそれは想像できる。おそらく、口を開けて閉じるタイミングと反転するタイミング、実際に食べているものとルアーの比重の違い、その整合が合っていないんだと推測しました。
こうなるといわゆる「弾く」という現象が起こります。お魚もきっと、なんで入らないんだ??と思ってるはずです。お魚の視覚、あるいは感じる波動はアミなんです。当然アミを食べるつもりで食ってくる。でも圧倒的に比重が違うし塊感としてのサイズも違う。その整合。となると何をしなきゃいけないか。ルアーのウェイトを寄せていかなきゃいけない、せめて少しでも、という思考の末、ビーナッツをサスペンドからハイフロートに交換。フルキャストの沖を撃ちます。そしてその2投目。カンッ!と素晴らしい当たりが出てドスンッと乗せることができました。思わず、のったぁー!と声が出ます。この時期らしい強いファイトをいなしキャッチしたのは28がらみのシロメバル。快心の一本でした。